■下水道に流してはいけない下水
下水道には、どんな下水でも流すことができるわけではありません。公共用水域の水質保全と下水道施設の維持管理などのため水質規制が行われています。人の健康に被害を及ぼすおそれがあるカドミウムやシアン化合物等を多く含む下水は、下水管内の作業を危険にしたり、終末処理場の生物処理機能を低下させたりします。また、生活環境に被害を及ぼすおそれがある水素イオン濃度が強酸性である下水は下水管を腐食させたり、他の排水と混合すると有毒ガスを発生させたりすることもありますし、ノルマルヘキサン抽出物質や浮遊物質量を多く含む下水は下水管を詰まらせます。
下水排除基準に適合しない下水を下水道に排出した場合、公共下水道管理者(「盛岡市上下水道事業管理者」を指します。以後同じ)による命令措置を経ることなく、直ちに処罰されることもありますので注意してください。
>>下水排除基準(PDFファイル・137KB)
■届出等が必要な工場・事業場~届出は1回だけではありません~
特定施設や除害施設の設置者には、様々な届出等の義務があります。その義務を履行しない場合、処罰されることもありますので注意してください。
特定施設とは、人の健康及び生活環境に対し、被害を及ぼすおそれのある物質を含んだ汚水を排出する施設であり、水質汚濁防止法施行令(第1条関係・別表第1)とダイオキシン類対策特別措置法施行令(第1条関係・別表第2)で定められたものをいいます。この特定施設を設置している事業場を特定事業場といいます。
また、除害施設とは、特定事業場から直罰規制を受けない汚水を排出する場合や特定施設を設置しない工場等が排出する汚水が下水排除基準に適合しない場合、その汚水を下水排除基準内に処理する施設をいいます。
>>特定施設一覧(PDFファイル・620KB)
1.公共下水道使用開始届(法第11条の2第1項及び第2項)※注1
届出の種類 | 届出を要する場合 | 届出の内容 | 届出の期限及び部数 | 罰則 | ||
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公共下水使用開始(変更)届 (様式第四 (第六条関係)) |
(1)50立方メートル/日以上の排水を排出する場合 (2)市下水排除基準の値に1項目でも適合しない場合 (3)届出た量又は水質を変更する場合 |
下水量又は水質及び使用開始時期等 | あらかじめ1部 | 20万円以下の罰金 (法第49条) |
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公共下水道使用開始届 (様式第五 (第六条関係)) |
上欄の要件の対象とならない特定施設の設置者 | 排水口の数、特定施設の種類及び使用開始時期等 |
※注1 以後、「法」は「下水道法」を、「条例」は「盛岡市下水道条例」を指します。
2.特定施設に関する届出(法第12条の3、法第12条の4、法第12条の7、法第12条の8第3項及び条例第8条の4)
届出の種類 | 届出を要する場合 | 届出の内容 | 届出の期限及び部数 | 罰則 | ||
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特定施設設置届出書 (様式第六 (第八条関係)) ※注2 |
公共下水道を使用する者が、特定施設を設置しようとする場合 | (1)氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名 (2)工場又は事業場の名称及び所在地 (3)特定施設の種類 (4)特定施設の構造 (5)特定施設の使用方法 (6)特定施設から排出される汚水の処理方法 (7)下水の量及び水質、用水及び排水の系統 |
設置しようとする日の60日前まで(受理後、実施制限期間60日) ※注3 3部 |
3月以下の懲役又は20万円以下の罰金 (法第47条の2) |
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特定施設使用届出書 (様式第七 (第九条関係)) |
公共下水道を使用している者が設置している施設が、新たに特定施設に指定された場合 | 特定施設になった日から30日以内3部 |
20万円以下の罰金 (法第49条) |
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既に特定施設を設置しているものが、新たに公共下水道を使用する場合 | 公共下水道を使用することとなった日から30日以内3部 |
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特定施設の構造等変更届出書 (様式第八 (第十条関係)) |
既に特定施設設置届出書及び特定施設使用届出書を届け出た者が、届出の内容のうち、(4)~(7)を変更しようとする場合 | 変更の内容等 | 変更しようとする日の60日前まで(受理後、実施制限期間60日) ※注3 3部 |
3月以下の懲役又は20万円以下の罰金 (法第47条の2) |
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氏名変更等届出書 (様式第十 (第十二条関係)) |
届出者が届出の内容の(1)又は(2)のいずれかを変更した場合 | 変更した事項 | 変更した日から30以内2部 |
10万円以下の過料 (法第51条) |
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承継届出書(様式第十二 (第十三条関係)) |
届出者の地位を承継した場合 | 承継の原因等 | 承継した日から30日以内2部 |
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特定施設使用廃止届出書 (様式第十一 (第十二条関係)) |
特定施設の使用を廃止した場合 | 廃止した特定施設の種類等 | 廃止した日から30日以内2部 |
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水質管理責任者選任・変更届 (様式第12号 (第11条関係)) |
除害施設又は特定施設を設置した場合 | 使用者、水質管理責任者等 | 遅滞なく1部 |
※注2 旅館業の用に供するちゅう房施設、洗濯施設及び入浴施設(温泉を利用するものを除く。)に係るものについては届出及び下水排除制限の対象から除かれますが、公共下水道使用開始(変更)届(様式第四)又は公共下水道使用開始届(様式第五)が必要となります。また、水質測定の義務もあります。
※注3 実施制限期間の短縮措置があります。
3.除害施設に関する届出(条例第8条の4及び第8条の5)
届出の種類 | 届出を要する場合 | 届出の内容 | 届出の期限及び部数 | 罰則 | ||
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除害施設設置等計画書(事前審査のため) | 除害施設を新設及び増設しようとする場合 | 除害施設の構造及び機能、排出汚水の水量及び水質等 | あらかじめ1部 | 除害施設の設置等義務違反者 5万円以下の過料 (条例第28条) |
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除害施設設置・休止・廃止・変更届 (様式第13号 (第12条関係)) |
除害施設を設置し、休止し、廃止し、又は変更しようとする場合 | 設置場所、名称、使用者、排出量等 | ||||
水質管理責任者選任・変更届 (様式第12号 (第11条関係)) |
除害施設又は特定施設を設置した場合 | 使用者、資質管理責任者等 | 遅滞なく1部 |
>>申請書ダウンロードへ
>>届出様式の記入例へ
様式第六(例1 飲食店のちゅう房施設)(PDFファイル・331KB)
様式第六(例2 洗濯業の洗浄施設)(PDFファイル・335KB)
様式第六(例3 自動式車両洗浄施設)(PDFファイル・331KB)
様式第十(氏名変更等届出書)(PDFファイル・93KB)
様式第十二(承継届出書)(PDFファイル・104KB)
■特定事業場等には様々な義務があります
1 水質測定の義務(法第12条の12、法第49条)
特定施設の設置者は、次により水質を測定し、その結果を記録し保存しておかなければなりません。測定の記録をしない、又は虚偽の記録をした場合、20万円以下の罰金に処される場合があります。
(1)測定方法等
(2)測定頻度
測定頻度は次表のとおりです。
測定項目 | 測定頻度 |
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水素イオン濃度(pH)、温度 | 1日に1回以上 |
生物化学的酸素要求量(BOD) | 14日に1回以上 |
ダイオキシン類 | 1年に1回以上 |
その他の項目 | 7日に1回以上 |
(3)記録の保存
測定結果を水質測定記録表(様式第十三(第十五条関係))に記録して、その記録を5年間保存しなければなりません。
2 報告の義務(法第39条の2、法第49条)
悪質下水の排除者及び特定施設の設置者は、公共下水道管理者の求めに応じ、下水を排除する事業上等の状況、除害施設又は排除する下水の水質に関して必要な報告をしなければなりません。
報告の求めに応じず、又は虚偽の報告をした場合は、20万円以下の罰金に処される場合があります。
3 立入検査に応じる義務(法第13条、法第49条)
公共下水道の機能保全及び終末処理場からの放流水の水質を適正に保つため、公共下水道管理者が必要に応じて行う事業場等への立ち入りや特定施設、除害施設及び下水の水質等の検査に応じなければならない。
検査を拒み、妨げ、又は忌避した場合は20万円以下の罰金に処される場合があります。
4 事故時の措置義務(法第12条の9、法第46条)
特定事業場から、人の健康に係る被害又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある有害物質又は油が公共下水道に流入する事故が発生したときは、直ちに応急措置を講ずるとともに、速やかに公共下水道管理者に届け出なければなりません。
また、公共下水道管理者は、応急の措置を講じていないと認めるときは、応急の措置を講ずるよう命ずることができます。
公共下水道管理者の措置命令に違反した場合は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることがあります。
事故時の措置の対象となる有害物質及び油は次表のとおりです。
水質汚濁防止法施行令第2条各号に掲げる物質及びダイオキシン類 | |
カドミウム及びその化合物 | シス-1・2-ジクロロエチレン |
シアン化合物 | 1・1・1-トリクロロエタン |
有機燐化合物 | 1・1・2-トリクロロエタン |
鉛及びその化合物 | 1・3-ジクロロプロペン |
六価クロム化合物 | チウラム |
砒素及びその化合物 | シマジン |
水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物 | チオベンカルブ |
ポリ塩化ビフェニル | ベンゼン |
トリクロロエチレン | セレン及びその化合物 |
テトラクロロエチレン | ほう素及びその化合物 |
ジクロロメタン | ふっ素及びその化合物 |
四塩化炭素 | 1・4-ジオキサン |
1・2-ジクロロエタン | アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物 |
1・1-ジクロロエチレン | |
塩化ビニルモノマー | ダイオキシン類 |
水質汚濁防止法施行令第3条の3に掲げる油 | |
原油 | 灯油 |
重油 | 揮発油 |
潤滑油 | 動植物油 |
軽油 |
■公共下水道管理者による命令措置
1 計画変更命令(法第12条の5、法第45条)
公共下水道管理者は、特定施設の設置の届出、又は特定施設の構造等変更の届出があった場合、その特定事業場からの下水が下水排除基準に適合しないと認めるときは,その届出を受理した日から60日以内に限り、その届出の特定施設の構造や使用の方法及び特定施設からの汚水の処理の方法について、計画の変更や計画の廃止を命じる場合があります。
命令に違反した場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処される場合があります。
2 改善命令等(法第37条の2、法第45条)
公共下水道管理者は、特定事業場から公共下水道への排出口での下水が下水排除基準に適合しないおそれがあると認めるときは、期限を定めて、特定施設の構造や使用の方法及び特定施設からの汚水の処理の方法の改善、又は特定施設の使用もしくは公共下水道への下水の排除の停止を命じる場合があります。
命令に違反した場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処される場合があります。