トップ > 盛岡市の水道事業・下水道事業 > 令和7年度 下水道使用料改定 > 令和7年度 下水道使用料改定の概要
下水道事業における汚水処理に係る経費は、下水道を使用している皆さまからの下水道使用料で賄われています。
今般、下水道事業経営の将来推計を実施したところ、令和7年度以降、人口減少及び世帯構成の縮小による使用料収入の減少や、老朽施設の修繕・解体費用、流域下水道維持管理負担金増額といった維持管理経費の増加により、収益的収支において純損失の計上が続く、厳しい事業運営となる見込みであることから、令和7年4月1日より、これまでの公共下水道使用料を見直して、新たな使用料体系に改定して、使用料を引き上げることといたしました。
改定により、しっかりと純利益を確保することで、施設の老朽化、突然の災害発生や流域下水道維持管理負担金の増額などに適切に対応できるようになるほか、将来の建設投資額を増やし、管渠の耐震化率向上にもつなげたいと存じます。
今後も、長期的な視点で経営基盤を強化し、強靭で持続可能な下水道を維持できるよう、鋭意、取り組んでまいります。
■ 改定後の使用料(一般汚水)
詳しくは、水道料金・下水道使用料早見表(PDF)をご覧ください。
■ 改定前・改定後の使用料単価表
■ 改定後の使用料計算例(一般汚水)
○改定前・改定後の使用料の比較例(1か月分:消費税込)
※クリックで拡大表示します
○ 各世帯の下水道使用料は、水道料金と併せて、原則2か月分をまとめてお支払いいただいています。
○ 水道料金はこれまで通りで変更はありません。
水量ごとの使用料を一覧で確認できる新しい水道料金・下水道使用料早見表(PDF)はこちら。
■ 改定後の使用料の適用時期
② 奇数月に2か月ごとの検針(一般汚水、公衆浴場汚水)
奇数月に2か月ごとの検針をする場合、4月・5月分として請求する使用料のうち、新使用料を適用する5月分の検針水量は、4月・5月分の検針水量の1/2とします。
※クリックで拡大表示します
井戸水を利用されている方で、下水道に排出する場合は、井戸水分について下水道使用料をお支払いいただきます。
○ 家事用井戸水
一般家庭で井戸水を使用し、下水道に排出している場合は、世帯の人数で下水道使用料を計算します。井戸水のみ使用されるときと、市水道と井戸水の両方を使用しているときでは下水道使用料が異なります。
■ 改定後の使用料の適用時期(請求は2か月ごと)
○ 検針井戸水
家事用以外で井戸水を使用し、下水道に排出する場合は上下水道局が貸与した計量装置(井戸水用メーター)で検針し、下水道使用料を計算します。
1か月ごとに検針し、下水道使用料を請求します。
井戸水のみ使用されているとき、料金表は下水道使用料(1か月分)になります。
市水道と井戸水の両方を使用しているときは、下水道使用料単価表の従量使用料のみの請求となります(基本使用料は請求されません。)。
本市の公共下水道事業は、地方公営企業法に基づき地方自治体が経営する企業として運営されています。
そして、企業の経営成績及び財政状態を明らかにするため、会計制度は企業会計方式を採っているほか、事業に必要な経費は経営に伴う収入(下水道使用料収入)をもって充てるという 「 独立採算制 」 を原則に経営を行っています。
本市の公共下水道事業は、昭和28年の菜園排水区における着手が始まりであり、以来、市街化の進展に伴い、順次整備を進めてきました。
令和5年度末現在で、公共下水道汚水処理人口普及率は90.1%、公共下水道管総延長は1,936,239mにまで達しています。また、6箇所の汚水中継ポンプ場と5箇所の雨水ポンプ場の維持管理を行っています。今後、これらの公共下水道施設が経年による劣化のため順次更新時期を迎えるとともに、災害対策の一層の強化が必要となっています。
令和7年度を初年度とする「盛岡市下水道ビジョン2045」の策定作業を進めるに当たり浮き彫りになった深刻な課題を先送りせず、公共下水道事業を将来にわたって持続させるために、維持管理費の妥当性とともに、安定的な経営に向けた使用料の見直しの検討を行いました。
■ 使用料収入の減少
下水道使用料収入は、年々減少傾向にあり、令和5年度は、平成30年度と比較して約5%(201,607,815円)減少の4,128,256,097円(税抜)となっています。また、令和5年度の純利益は、平成30年度と比較して、約59%(340,030,360円)減少の238,640,239円(税抜)まで落ち込んでいます。
全国的な人口減少が予想される中で、水需要の減少が更に加速しています。これらの傾向は、今後も継続していくものと見込まれることから、収入の減少は危機的な状況に向かっています。
○実績 : 下水道使用料収入と純利益は減少している。
〇 予測:人口減少にともない使用料収入が今後も減少する。
■ 施設の老朽化
今後、使用料収入が減少していく状況であっても、老朽施設の更新を先送りすることはできません。この投資需要に見合う財源の確保が重要となります。
「経営比較分析表」(総務省)で見る公共下水道施設の老朽化の状況
※類似団体条件 処理区域内人口10万人以上/処理区域内人口密度50人/ha以上75人/ha未満/供用開始後年数30年以上(政令市を除く)
〇 法定耐用年数を経過した管渠が増えている。
【管渠老朽化率(%)】
〇 法定耐用年数に近い資産が多い。
【有形固定資産減価償却率(%)】
本市では、令和2年度に「盛岡市下水道ストックマネジメント計画」を策定しました。この計画に基づき、計画的かつ効率的に事業を進めることで、ライフサイクルコストの縮減・平準化を図るとともに、既設下水道管の延命化を図り、非効率な設備更新を防ぐことが可能となりました。しかしながら、膨大な公共下水道施設を有していることから、老朽化による維持管理費や更新経費の増加は今後も避けられない状況です。
■ 災害等への対応
令和6年能登半島地震は、石川県内で甚大かつ広域的な被害を公共下水道施設に与えました。災害はいつどこで起きるか分からないため、災害対策は急務です。公共下水道施設が被災した場合、公衆衛生問題として、トイレが使用できなくなるばかりか、下水道管の陥没やマンホール浮上による交通障害が発生するなど、市民の健康や社会活動に重大な影響を及ぼします。
本市の公共下水道施設につきましては、施設の耐震化を進めているところですが、汚水管の耐震化率は令和5年度末で35.3%であり、公共下水道施設は、地震時に同等の機能を代替する手段がないにもかかわらず、膨大な施設の耐震化が完了していないことが本市の今後の課題となっています。そのため、ストックマネジメントを行いながら、耐震性能の低い下水道管やポンプ場などの耐震化にしっかり取り組んでいかなければなりません。
(国土交通省ホームページ)
■ 北上川上流流域下水道維持管理負担金の増加
現在、本市の下水の処理は全て流域下水道「都南浄化センター」で行われています。流域下水道は岩手県が事業主体であり、都南処理区として、本市のほかに滝沢市、矢巾町、雫石町の公共下水道からの下水を処理しています。
処理に係る維持管理負担金は排出量に応じて構成自治体それぞれの市町が負担しています。都南処理区の処理施設は、昭和 55年から稼働しており、今後見込まれる施設の老朽化による維持管理費の増加や、電気料金等の燃料費や薬品費の高騰などの影響による維持管理負担金の増額は、各市町の公共下水道事業の経営に多大な影響を及ぼすことが予測されます。
➢ 改定の必要性
これらの課題のほか、「老朽化した旧中川原終末処理場の解体整備」など、多くの課題があります。
多くの課題を先送りせず、公共下水道事業を将来にわたって持続させるために、維持管理費の妥当性とともに、安定的な経営に向けた使用料の見直しの検討を進めてきました。
公共下水道事業の経営状況や受益者負担の原則、公営企業の独立採算制の原則の観点から、
下水道使用料の改定は避けられない状況と判断しました。
■ 改定の基本方針
○ 改定時期 令和7年4月1日
○ 平均改定率 24.7%
※平均改定率とは、今後の必要経費と収入の見込み額から算定した全体での改定率であり、排出量によって変わります。
○ 改定による経営効果
年10億円(税抜き)の収入増により、毎年度4億円程度の純利益の確保が可能となります。
※純利益は、将来の更新投資の財源の安定的な確保に必要なものです。毎年度4億円程度の純利益の確保により、耐震化率の向上など盛岡市の課題解決の財源に寄与できます。
○ 使用料妥当性の検討
今後においては、現行使用料の妥当性の検討を、4年ごとに定期的に実施します。
■ 使用料体系の考え方
○ 改定の方向性
① 基本使用料
税込995円から税込1,287円に引き上げます。これにより、使用料収入に占める基本使用料の割合を高めます。
※ 基本使用料で賄うべきなのは、排出量に関わらず発生する費用です。今後の人口減少による排出量の減少が見込まれる中で、より経営の安定性を高める観点から、基本使用料の割合を高めます。
② 従量使用料
一般汚水において水量区分及び単価を変更することで、人口減少及び世帯の小規模化に対応できる使用料体系にします。
③ 家事用井戸水は、一般汚水の改定を踏まえて改定します。
■ 下水道使用料改定による効果
令和7年度以降、収益的収支において純損失が発生するのを回避するだけではなく、次のような懸念される不測の事態に対応することが可能となります。
➢ 老朽化等にともなう緊急修繕
➢ 災害等非常時の迅速な対応
➢ 流域下水道維持管理負担金の急激な値上げ
下水道には、流した水量を計測するメーターはありません。盛岡市下水道条例に基づき、検針した水道の使用水量を下水道へ流した水量とみなして計算をします。家事用井戸水をご使用のご家庭は、世帯人数に応じて計算をします。
検針時にお渡しする「使用水量・料金等のお知らせ」の『汚水排出量』の欄や、「納入通知書」の『使用水量』(検針井戸の場合には『排出量』)の欄に記載しています。
(例)
口座振替払いをご利用の方に限り、ご希望により「2カ月に1回の検針により計算した料金を、半額ずつに分割して1カ月ごとの口座振替によるお支払い」を選択していただくことが可能です。
詳しくは「水道料金の毎月口座振替払いについて」をご覧ください。
※ 口座振替払いをご利用いただくと、水道基本料金を 毎月50円割引します。お申し込みはこちらからもできます。
集合住宅は、給水方式と請求方法により分類されます。詳しくは「集合住宅の水道料金・下水道使用料」をご覧ください。
今回は、水道料金の改定はありません。
■ 広報紙「みずの輪」にも改定に関するQ&Aを掲載しています。
ご意見・お問い合わせはこちらへ(担当:経営企画課)。